仕事を辞めると上司に伝えないと、と思いながらなかなか伝えられず、日々が過ぎていた。
実はこの時期、14年間飼ってきた愛犬DOC(ドック)の体調がおかしかった。
DOCは私が中学生時代公園にいた時、目の前でシェパード3匹連れたおっさんに捨てられた捨て犬だ。
ひょこひょこ歩きのこの犬は、私と親友の前から離れなかった。
シェパードを連れたおっさんが車で公園から離れた後も。
当時、マンションから一戸建てに引っ越していた私の家族は、犬を飼うには十分余裕があった。(と思ってた。)
そのままチャリンコの前カゴに入れられて、連れてこられたのがDOCだ。
毎日散歩に行っていた。
彼女とのデートすっぽかしてでも散歩に帰っていた。
そのDOCが9月末ごろから立てなくなっていた。
どうやらヘルニアのような症状らしく、下半身麻痺を起していた。
11月11日の夕方、母から電話があった。
『DOCが危ない。』と。
そして運よく、この日は仕事が早くに終わった。
当時一人暮らしをしていたところから、実家まで高速を泣きながらバイクで駆け抜けた。
帰って家に飛び込むと、父が『DOC!DOC!』と呼びかけていた。
近寄れず、洗面台に向かい手を洗いながら気持ちを整えた。
『DOC!』
俺がこう呼び掛けると、DOCはかすれた声で『ワオン!』と小さく鳴いた。
そのまま数分後に息を引き取った。。。
なんとか、看取ることができた。
でも、涙が止まらなかった。
鼻水が床に着くんじゃねーかってぐらい出てきた。
父は、『拾われて、看取ってもらえて、DOCも幸せやったやろ。』と言ってくれた。
全力で愛情を俺に向けてくれた愛犬は、無事天国に旅立った。
もう、散歩することも無くなった。