眠い眼で沖縄の透き通るような海を見て、仕事を辞める決意をした。

入社して4年目。
3年間は文句を言わずに働こうと決めていた。
4年目になって、気付いた。
最近やっている仕事といえば、社内で上司が機嫌良くハンコを押してくれる資料を作ること。
おかしいだろと思っても、そこに口をはさめばややこしくなるだけ。
仕事を任される風潮もなく、ただ朝から夜中まで資料資料資料資料。
業務過多で仕事がパンクしていた。
沖縄に来た前日は翌朝4時半まで仕事をしていた。
このままでいいのかなと、複雑な気持ちで仕事を終わらせた。
その気持ちを抱えたまま眺めた沖縄の綺麗な海は、休めと言っているようだった。

昔から、沢木耕太郎著『深夜特急』が大好きだった。
小学生の時に両親からプレゼントされたものだった。
1980年代に、ユーラシア大陸を乗合バスで横断する彼の話は、幼心に響いた。
世界ってどうなっているんだろう。
世界って何があるんだろう。
その思いをさらに大きくしたのは、小学5年生で父とネパールに行った時だった。
全てが全く異色の世界。
日本にあるものがなかった。
腕のない子供が子供の私に物乞いをしてくる世界。
いつか、世界が見たかった。
リンク