朝6時。
ハリッドとのごちゃごちゃの後、何もルクソールの下調べができないまま乗り合いバスに乗り眠れぬ旅を続ける。
こんな状況にも楽しそうなVivi。
ルクソールに着いてもルクソールのどこに着いているのか、わけもわからず地に足がついてなかった。
宿も決まってない。
どこだよ、ここ?
Vivianが持っていた中国語版地球の歩き方的なガイドブックに乗っていたホテルを乗り合いバスから降ろされた場所から感覚を頼りに探していく。
HAPPY LAND HOTELへ。
疲れていたのか、2人とも荷物をおろしてぐっすり寝てしまった。
2人で街をさまよったその不安を拭うかのように。
起きたらもう夕方近かった。
寝て起きたら彼女はとっくに陽気になってた。
色々声をかけられたけど、とりあえず何か食べようと入ったシーフード屋がまさかの大当たり。
フィッシュフライ、サンド、ライス。
お互いに色々な意味で満たされる。
レストランから出るとさっきのおっちゃんがまだ待っていて、1ポンドだと言うので馬に乗ってみた。
なんかビルでパピルスを見たり、
民族衣装を着せてもらったり、
エジプト考古学博物館を見てきた後では物足りない彫刻を見て。
最後はカフェでバイバイ。
やっぱり最後に「イギリス1ポンドよこせ」。
もうこの手の話には食傷気味だ。
でも、これも旅なんだと思える。
旅は贅沢なことだと思えるから。
『今』が希少な時間だったんだと感じられるから。
もちろん民族衣装も買ってないしイギリス1ポンドも払わない。
Viviと夜のルクソールを散歩して色々声をかけられる中、綺麗な英語。
2人で英語で喋り返す。
ビックリされ、「お前ら英語できるのか?どこから来たんだ?」
彼女は中国から、俺は日本だよ。
そうか、、、と。
彼はイギリスの大学に留学していたようだ。
でも、イギリスの大学に留学している日本人は決まって日本人とつるんでコミュニケーションどころかろくに英語も話せなかったと。
「俺の英語もJanglishだせ?」と言うと、
いや、お前は俺に英語で喋ってくれているよ。俺にはちゃんと聞き取れるよ。
そう彼は話してくれた。
彼から、イギリスから帰国して自分の店を持っているからと言われ、二人で訪れたが、本当に1銭も払うこともなく商品を勧められることもなくただただ喋って時間が過ぎていく。
昨日今日で疲れ切っていたコミュニケーションが本当に楽しく感じた。
お店を出て暗闇をホテルまで。
道中のジュースを2人で分け合いながら。
ホテルに着く頃にはもうがっつり深夜。
でも、横にVivianの体温を感じていた。